2025年4月のオアフ島不動産市場では、販売活動の減少と在庫の増加が顕著となった。高金利や生活費の上昇が影響し、特にコンドミニアム市場では価格の調整が進んでいる。一方、一戸建て住宅の価格は上昇傾向を維持している。
ホノルルリアルター協会による 2025年4月のマーケットレポートサマリー
- 戸建住宅の中間価格は前年同月比6.4%増の$1,170,000
- 戸建住宅の販売数は241件、前年同月比で8.0%減
- 売出期間は先月よりも日短くなり、29日間
- コンドミニアムの中間価格は前年同月と同額の$505,000
- コンドミニアムの販売数は395件、前年同月比で8.3%減
- 売出期間は先月より3日遅くなり、43日間
ここからそれぞれの主要な指標についてお伝えする。
中間価格
(チャートは緑のラインが戸建て、黄色のラインがコンド。以下のチャートはすべて同じ)
戸建て住宅の中間販売価格は前年同月比で6.4%上昇し、1,170,000ドルとなった。これは3月からみると0.9%の上昇となった。
一方、コンドミニアムの中間価格は前年同月比で4.4%下落し、505,000ドルとなった。3月からは1.0%上昇となった。
価格帯別の販売件数
戸建て住宅市場では多くの価格帯で販売件数が減少しており、中間価格の1,170,000ドルを含む100〜150万ドルゾーンは増加したが、1ミリオンを切っての戸建て購入は物件数の少なさもあり厳しい。特に70万ドル〜99万9,999ドルの価格帯は28.1%減(昨年の96件→69件)と最も大きく落ち込み、それ以下の戸建ても軒並み20%以上ダウンとなった。
コンドミニアムでは、40万ドル〜50万ドル未満の価格帯が33.3%減と最大の減少を示し、逆に30万〜40万ドル未満は46%と突出して増加した。中間価格の50万ドル前後はローンを組んで住居として購入する人も多く、価格の手頃さは依然として重要な要素であり、リスティング価格に加え、住宅ローンの金利や上昇傾向にある管理費も考慮して購入判断がなされているとみられる。フレディマックによれば、5月1日時点で30年固定金利の住宅ローン平均は6.76%、第1四半期平均は6.83%だった。
その中で30万ドル代という低価格帯のみがが売れているのはスタジオや1ベッドルームなどを賃貸やバケーションレンタル用に投資物件として購入する投資家層が動いているのかもしれない。
売出し期間
(チャートは緑のラインが戸建て、黄色のラインがコンド。)
売り出し期間は、戸建て、コンドミニアムともに先月から戸建て住宅では中央値が29日となり、先月から14日伸びた。前年の17日と比較しても取引期間が長くなっている。コンドミニアムも43日となっており、前年の29日からも大きく延びている。
市場在庫・新規売出し物件数
在庫も両市場で増加しており、4月末時点で売出中の一戸建て住宅は805件(前年比+30.3%)、コンドミニアムは2,512件(前年比+59.4%)となった。
新規リスティングについては、戸建て住宅では新たに366件の物件が市場にリストされ、前年同月比で4.9%の増加となった。中でも60万ドル〜99万9,999ドルの価格帯の新規リスティングは前年比26.8%増の123件となった。対照的に、100万ドル〜129万9,999ドルの価格帯では20.9%減(91件→72件)となった。人気価格帯の物件は手薄という状態だ。
一方で、コンドミニアムの新規リスティングはさらに大幅に増加し、4月には851件が市場在庫に加わった。前年同月比で29.7%の増加となった。これらのうち約60%は59万9,999ドル以下の価格でリスティングされている。
また、リスティング価格を上回って成約した物件の割合も減少し、買い手と売り手の力関係に変化が見られる月となった。戸建て住宅では、販売価格が元の希望価格を上回った取引は27%で、2024年4月の33%から減少。コンドミニアムでは、わずか9%の取引が元の希望価格を上回って成約し、前年の15%から大きく下がっている。 積み上がってきた在庫により、売買がスローになってきたことは特にコンドミニアム市場において顕著だったが、さらに買い手にとって強気な交渉が可能なマーケットへ変化の兆しがはっきりしてきた4月と言える。
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